QCX QRP transciver

 QRP Labsから発売されたCW専用のキットです。
 $49という安価で、ほとんどがマイクロコントローラーによって制御され、回路的にはシンプルな構成になっています。
 調整や校正をする際の測定器も回路の中に組み込まれていて、他の機器を準備しなくても調整ができるようになっているのが特色です。
 ただ、ケースはなく、基板のままですので、実際の使用には工夫が必要です。
 16文字2行の液晶表示で、メニューを呼び出してさまざまな設定を行います。デコーダーも装備されているので、CWの受信信号や送信信号を文字表示させることができます。

 A,B2つのVFOを持っており、スプリット運用も可能です。もちろんRIT機能もあります。
 80m、40m、30m、20m、17mバンドのものがラインアップされており、基本部分は共通なのですがローパスフィルター関係がバンド毎に異なる構成です。
 マニュアルが130ページもの大部になっていて、組み立てについても細かく説明があります。

追記 現在ではQRPLabsのサイトで、アルミ製のケースが紹介されています
 ちょっとした工夫

QCXでは電鍵を使う場合にはメニューからStraitKeyを選択し、設定します。
しかし、差し込むプラグがモノラルであったり、ステレオでもリング部分がGNDに落ちている場合には常時送信状態になってしまいます。QCXで電鍵を使う場合には、ステレオプラグでリング部をどこにも接続しないよう配線しなくてはなりません。
ところが、よく使われるリグでは、電源投入時に、モノラルプラグやステレオでもリング部がGNDに接続された状態を検知すると電鍵モードに設定されるものがほとんどです。
このため、電鍵を使用したり、外付けのエレキーを使用する場合には
、QCXだけリング部がGNDに落ちていないものを用意しなくてはなりません。これは大変不便ですので、変換アダプターを作りました。単に、ジャックとプラグを接続しただけです。ただし、プラグのリング側はどこにも接続しないようにします。このアダプタを介することで、モノラルでも、リング部がどこかに接続している場合でもQCXで電鍵として使うことができるようになります。

QRP Labs QCX へのリンク
 QCXの新スプリアス規制への対応
QCXは国内メーカー製のリグではありませんので、自分で新スプリアス規制に適合していることを確認しなければなりません。保証認定という制度がありますので、それを使うことにしました。
JARDの測定室一般利用というサービスを利用し、送信機のスプリアス等が新規制に適合しているのかを測定してもらいました。持ち込んだのはQCX80、QCX40、QCX30、QCX20、QCX17です。結論としてはQCX80以外は適合しているとの書類をもらいました。QCX80については測定した3.5750MHzのちょうど2倍の位置にあるスプリアスが基準値を上回っており、不適合でした。実はこのQCX80は実験中に何度も終段のBS170やキーイングのMPS751を焼損していたものでした。デバイスを交換して動作するようになったので、今回測定したのですが、この結果を受けて再度詳しく調べてみるとLPF部のL3に焦げた跡があり、周りのCにもダメージの跡が付いていました。トランジスタが焼損しただけでなくLPFにも影響が出ていたようです。この部分に対策をして、再度測定をしてもらうつもりです。ともかく、測定の結果、QCXが新スプリアス規制に適合して、これからも使い続けられることがわかりました。

追記 QCX80については前回不適合の判定を受けていましたが、LPF部をほぼ同じ定数で作り変えて「適合」の判定を得ました。L1とL3の巻き数を24Tに1巻き減らしたもので測定を受けました。オリジナルの定数でも大丈夫だとは思いますが、他の製作例を見ると25Tよりも24Tの方が良いようでしたので変更しました。これで、製作したすべてのQCXが新スプリアス規制に適合することが確認できました。
QCXマニュアルの訳文 pdf Ver1.08
この翻訳はマニュアル全文ではありません。103ページ・セクション4までのキットの製作に関わる部分です。セクション5以降は技術的解説で、図表が多く翻訳なしでも十分理解できる内容だと思います。なお、この訳文はデータが大きいのでダウンロードに時間が掛かる恐れがあります。

QCXminiは別ページにしました

Trouble Shooting pdf
QRPLabsにあるトラブルシューティングの翻訳です。

QCX Mod 改良情報 pdf
QRP LabsのサイトにあるModページの翻訳です。
QCX組み立てマニュアル pdf Ver1,11
基板がRev4に変わりましたので改訂されました

一般的なプログラムライターのコネクタ接続。

メニューを呼び出して、電圧表示をONにすると、LCDの右上にマークが出ました。私はリチウム電池3本で使っていますので、フル表示を12Vとし、1V毎に7段階で電源電圧を表示するようにしました。

QCXには電圧計が内蔵されています。それを使って、電源電圧を表示させることができるのですが、ピンを接続しなくてはなりません。2ピンが並んでいれば普通のショートピンが使えるのですが、QCXでは3ピン並んでいる両側の2ピンを接続する必要があります。
そこで作ったのが写真のショートピンです。ジャンクのICソケットから3ピン分を切り出し、真ん中の受け金具を抜き取りました。

30mバージョンを組み上げました。今回は電源ターミナルを初めからコネクタとして、ケースに取り付けました。また、フォーンジャックの近くのケースにスライドスイッチを取り付けました。やはり、運用しているときに、電源プラグを抜き差しして電源のON-OFFをするのは使い勝手がよくありません。
上面パネルの下の化粧板にも少し手を入れました。これはExcelで作っていますので変更が容易です。用紙の色を変え、表示も色を入れました。LCDの周りは太い枠としました。

11/15に発注しておいたキットが届きました。500台ずつ生産しているということで、これは第5バッチになるのだと思います。クリスマス休暇前に大量に発送されたようです。
さっそく組み立てました。いくつかの変更があったようで、10kΩの抵抗が1本余分に入っていたり、LCDのコントラスト調整用の半固定VRが10kΩに変わっていました。QRPLabsのwebsiteを読んでいれば状況がわかるのですが、マニュアルにも記載がありませんから、ちょっと不親切なところです。

今回は80mバンドですが、トロイドの巻き数が多くなり、難渋しました。キットに入っているエナメル線ではさすがにT1は巻けないと判断し、手持ちの細いエナメル線を使いました。マニュアルには重ねて巻いても大丈夫だと書かれていますが、やはり、きれいに巻くには、線を細いものにする必要があると思います。
半固定VRが変更になっていますが、微妙に大きさが異なり、配置に調整が必要でした。


組み上げて出力を測ってみると、12Vで2.5W程出ていました。アンテナを繋ぐと夕方から賑やかな交信が聞こえました。

GPS受信機QLG1を接続し、システム周波数と基準周波数較正も難なくできました。ファームウェアのバージョンは1.00eになっていましたので、メッセージ送信も問題ありませんでした。

アクリル板を組み合わせて、ケースに入れました。だいぶ工作にも慣れてきて、接着剤で回りを汚すことも少なくなりました。垂直をとった後、外側から接着の溶剤をほんの少し流し込むと、毛細管現象で溶剤が接着面にしっかり流れ込むこともわかってきました。
3.5MHz帯でのWSPR周波数を調べてみると、、国内の周波数割り当ての外になってしまうので、WSPRの運用はできないようです。そのため、GPSを使った時間合わせの必要はないと考え、GPSの接続端子は外部に出しませんでした。

WSPRの件について情報をいただきました。
80m--3.568600--3.570100 (+- 100Hz) (this is the default frequency in WSJT-X v1.8.0 to be within the Japanese allocation.)
とのことです
QCX-20

残っていた14MHzのQCXを組み上げました。これで、日本では許可されていない60mバンドを除き、発売されているQCXを組み上げたことになります。
ただし、このQCX-20は2台目です。最初に組み上げたものは受信は正常だったのですが送信出力が出ませんでした。いろいろといじっている中で、Si5351の部分に手を入れてしまいました。これはとても小さなデバイスですので、いじればいじるほどランドが剥がれたり短絡が起きたり、とうとう動作しない状態になってしまいました。そのため仕方なく、2台目を注文し、組み上げたのがこれです。組み立ては、以前に訳したマニュアルを見ながら半日ほどで出来ましたが、その途中で、翻訳の不備が見つかり、訂正を入れるという副産物もありました。
今回のQCXはファームウェアーが”g”になっていて、起動時に表示される画面も”2019”になっていました。

2台目は発注して10日ほどで届きました。その届いた日、だめ元でいじっていたSi5351が動作したのです。受信はできるものの送信部がまだうまく働きません。751を何本も焼損し、170もだいぶ昇天させました。今しばらく原因追及を楽しめそうです。

QCXとの接続は4本のピンを繋ぎます。双方に同じ配列の接続ピンが用意されていますので、コネクタ付きのケーブルを使えば簡単に接続ができます。私は手持ちのものがなかったので、テストケーブルで繋ぎました。
8アライメントメニューの中にある、、8.11 Cal ref oscで左ボタンを押すと較正が始まり、数秒でDoneが表示されます。8.12 Cal sys oscでも左ボタンを押すと較正が始まり、システム周波数の較正値をメモリーに記録します。時間やローケーターのデーターは自動的に取得されます。ただし、時間についてはQCXにはメモリー保持用の電源がありませんので電源offでリセットされてしまいます。8.13GPS dataでは現在捕捉している衛星の状況を表示します。

6 Beaconに戻って、6.7 WSPR locatorや6.9 Set timeに情報が取り込まれていることを確認することができます。

WSPRを使うためのはWSPRnet http://wsprnet.org/drupal/ にアカウントを作成要請をします。申請をしてしばらくすると承認されて、WSPRネットに入ることができるようになります。自分の出した電波がどの程度届いているかを見ることができるのは、アンテナの実験や伝播状況の把握などに役立ちそうです。


WSPRを運用するとき、正確な時間が必要になります。他のパラメータはEEROMに記憶されているのですが、時間については電源を落とすとリセットされてしまいます。そのため、運用するごとにGPS受信機を接続する必要があります。
4本の端子なのですが、これをケースの外から使えるようにしておくと便利です。コネクタとして、8ピンのICソケットを2つに切り分け、ホットグルーで固めて使っています。5Vのラインがどちら側かが分かるように色別の線を使うとよいと思います。
GPS受信機を接続をしないときには、余っている8ピンICソケットの片割れを4ピン端子に被せて、ショート防止にしています。

QCX-80
 メイン基板上にすべての部品を取り付け、操作のためのボリュームとロータリーエンコーダも基板に直付けする構成になっています。
 しかし、この状態ではケースに入れることが困難です。基板には、これらボリューム、ロータリーエンコーダ、2つの押しボタン、電鍵機能のマイクロスイッチについては、外部に引き出すための端子が設けられています。
 私はボリュームとロータリーエンコーダを基板外に取り付けることにし、アクリル板でサンドイッチにすることにしました。
 80mm×100mm×30mm +α程度のケースが入手できればすっきりとまとまったリグになると思います。

ロータリーエンコーダーや押しボタンのシャフトをどのように伸ばしたのかという質問をいただきました。
お見せするのが恥ずかしいようなローテクです。丸箸を使いました。できるだけエンコーダーのシャフトの太さに近いものを見つけ、シャフトの切り割に合わせて削ります。そして、熱収縮チューブを被せて固定しました。
押しボタンはボタン部分の長いものに取り換えて、同じく丸箸を削ってボタンの太さに合わせ、熱収縮チューブで固定です。強く引っ張れば取れてしまいますが、通常の使用では特に問題はなさそうです。

QCXのケース Enclosure

このキットには、ケースが付いていません。また、QCX用のケースも販売されていません。自分で、何か工夫する必要があります。
私は、とりあえず、アクリル板で上下を挟み込むケースを使っていますが、他の方々は本格的なケースに収めているようです。QRP LabsのページにEnclosureの紹介ページがあります。それぞれ個性的でとても参考になります。
 箱に中には基本となる部品と、バンドごとに異なる部品が2つの袋に分けられていました。
 早速、部品を確認すると抵抗が2本足りないのと、トランジスタの型番が異なったものが入っていましたが、抵抗は手持ちのもので、トランジスタは互換性のあるもののようなので、すぐに製作を始めました。
※追記 トランジスタは第2バッチからこのトランジスタに変更になったようです。(Ver1.08)
ファームウェア更新

QCXにはQPSモジュールを接続してシステムの基準周波数やDDSの発信周波数を較正したり、現在地のローケーターを調べたり、また、基準となる時間を設定する機能があります。
これらを使って、WSPRの動作をさせることができるのですが、通常の交信では必要のないものと考えていました。
しかし、WSPRなるものがどういうものなのか実験してみようと、$23と安価なQLG1を購入しました。
届いてみると、たいへんシンプルなキットで、30分ほどで組みあがりました。とりあえず電源を入れて、しばらくすると衛星の捕捉ができたようで黄色のLEDが点滅を始め、さらに数分後緑のLEDが1秒毎の点滅を始めました。

QCXで運用しているとき、記憶させているメッセージを送出すると、そのときに表示される周波数が、運用している周波数と異なっていることに気づきました。
他の局に迷惑をかけているのではないかと、すぐに送信を中止したのですが、調べてみると正常に、運用周波数で送信していました。LCDの表示がおかしかったようです。そこで、QRPLabsのHansにメールで確認したところ、返事がもらえませんでした。仕方なく、QRPLabsのwebsiteを精査していると、ファームウェアが更新されていることがわかりました。私のキットは1.00cで現在は1.00eになっていました。

YouTubeからの情報

KB9RLWのThe old Tech GuyのYou TubeにQCXの製作と レビュー・デモの映像が出ています。詳しく解説されていますので参考になります。

Building the QRP Labs QCX transceiver kit.

Review and demo of the QRP labs QCX transceiver kit.

Roberto Dietrafesaによる製作の解説です。ネイティブではないイタリア人の英語による説明が、日本人にはわかりやすいように感じます。2時間以上の長編です。

QRP Labs QCX 5W RTX Transceiver by Hans Summers
 
 QRP Labsからのキットの発送がだいぶ進んできたようで、多くの人からの製作情報が寄せられているようです。 
 これまで得られた情報をもとに、基板に手を入れました。
① マニュアルの訂正に基づき、R19とR25に入れ替え。
② マイクロコントローラーの始動タイミングを安定させるためのL5の移設。
③ パワーアンプの動作を安定させるための抵抗の付加。
④ LCDタブがトロイドに触れる恐れがある部分の修正。
その他の情報、LCDコントラスト調整は特に対応せず。また、CWフィルターの中心周波数についても私は対応していません。

上記のModによって、左の写真のように、基板の裏側にはL5と10kΩの抵抗を付加しています。

お空が開けず、18MHzのQCXでの運用ができず、やきもきしているところに、2か月前に発注した7MHzのキットが届きました。
早速組み上げ、運用できることを確認したところで、今回はアクリル板を使ったケースに収めました。

QCXには、ファームウェアを更新するためのISP端子が付けられています。
更新の方法は、QRPLabsのwebsiteにも書かれていました。
新しいファームウェアを入手して、AVRライターで書き込めばよいようです。
Firmware1.00e はQRPLabs@group.ioに参加申し込みをして、メールのやり取りをし、承認を受けるとファイルをダウンロードできるようになります。
AVRprogrammerはe-bayで探すと送料込みで$2程度でもあるようです。ソフトも無料で入手できるようです。
私は手元にあった共立エレショップのAVRWRT3を使いました。このライターに付属しているコネクタの配列がQCXのISP端子と同じでしたので、そのまま差し込むことができました。
QCXには電源を接続せず、ライターのジャンパ「JP1」をショートしてUSBから5Vを供給するようにします。
ソフトを立ち上げ、デバイスAtem328Pを選定、書き込みをします。このとき、EEPROMには、QCXの設定情報が入っていますので、書き込みはしません。ほんの数秒で書き換えは終了しました。
プログラムライターとの接続が間違えなければ、順調に進められると思います。なお、fuseなどは変更しないほうがよいようです。
電圧表示
 製作の方法は、同じ部品をまとめて取り付けてしまう方式で、機械的に作業を進めます。どこに何を取り付けるかをレイアウト図を使って細かく説明されていますので、付け間違いや、取りこぼしを防ぐにはよい方法だと思います。また、作業もスムーズにできます。
 トロイドにコイルを巻く場合にも、写真を使って説明があり、特にT1については、手書きの図が挿入されており、これでもかというほど丁寧すぎる説明があります。

LCDの脇にある3ピンにこのショートピンを取り付けます。
DVMの入力とV+が接続されたことになります。

できるだけ厚みの少ないケースにしたかったので、キットの一部を変更しています。
① R36のボリュームを基板に取り付けるのではなく、基板の上に両面接着テープで取り付けました。
②ロータリーエンコーダーはオリジナルのまま取り付け、シャフトを延長しました。
③電源のターミナルは、コネクタに変更しました。
④2つの押しボタンはボタン部分が長いものに交換し、ケースの上から操作できるよう棒を取り付けました。

PCB基板よりほんの少し大きいサイズですので、コの字形に側面のアクリル板を底面と接着し、アンテナコネクタの面を差し込んでから、最後に電源コネクタの側面を取り付け、底面と側面の接着を行いました。手順を考えながら進めないと収まり切れないことになりそうです。
蓋となる透明なアクリル板の内側に、表示などを印刷したテンプレートを挟み込んでいます。本体との接続は20mmのロングナット(ねじ山のついたスペーサー)を入れて、ビス留めしています。

8月30日に申し込んだのですが、予約扱いで、やっと届いたのが10月21日でした。すでに1000台以上が発送されたとのことですが、工場からのキットはできていても、発送に手間取っているようです。
届く数日前に発送したとのメールが来て、3日ほどで届きました。おかしなことに国内郵便物で住所は西麻布、発送元の郵便局消印は岩国でした。
 ともかく、しっかりした荷姿で無事に届いてよかったです。

Arduino unoを使ったファームウェアのアップデート訳 pdf

QCX-30
QCX-40

アクリル板を使ったケースの製作 

英語版 ケースの製作 pdf

Template Data (EXCEL)
QRP Labsのwebサイトに改良情報が掲載されています。そのページを翻訳したものに右上でリンクを張っています。
GPSモジュール

Modifications