移動運用MLA
給電部の位置が自由だということが見えてきたので、給電部とキャパシタを一つのパネルに取り付け、エレメントの輪を保持するサポーターも一緒にした機構を作った。園芸用のプラスティックポール(5mmφ150cm)を2本使い。もう一つのサポーターチューブを用いてリングを作る。
エレメントの長さは3m、ポリバリコンは260pFで、7,10,14,18MHzに対応した。
給電点を上側というのは思い込みでした。 実験をしてみると、輪にしたエレメントのどこに給電点を置いてもあまり違いはありませんでした。2ターンMLAはコンパクトにできるのがメリットのようです。 |
MLAはキャパシタの調整をするため、給電部は上部になることが多いのですが、同軸ケーブルを接続するため、どうしてもトップヘビーになってしまいます。
給電点を下側にすればバランスがとりやすくなります。そこで、エレメントを2重にして給電部とキャパシタ部を下側に配置するMLAを作ってみました。
ゴムのチューブの中に2mのワイヤーを2回通そうとしました。端から差し込んで通そうとしたしたが、40cmほどで動かなくなり、通しことができません。仕方なくゴムチューブに割を入れ、全長4m、2ターンのループにしました。
キャパシタはポリバリコンを使って実験しましたが、調整してしまえばほぼそのままでも使えることから、トリマーを使い、各バンド毎にスイッチで切り替える方式にしました。トリマーは40mバンドで40pF、80mバンドでは60pFに120pFと33pFのコンデンサを抱かせています。
給電部はFT37#43のトロイダルコアを使い、調整の結果、3Tで一番SWRが低くなることをみつけました。
組み上げて、改めてSWRを測定すると両バンドとも1.2以下に収まっていました。
受信してみると、両方のバンドでにぎやかな交信が聞こえました。
送信については波が出ていることは確認しましたが、交信には至りませんでした。コンディションの状況を見て再度挑戦してみたいと思います。
2ターンでも電波が出せることがわかったので、他のバンドでも対応するものを作ってみました。
30m、20mバンドに対応するよう3mのワイヤーを2ターンにして測定すると同調点が見られましたので組み上げました。しかし、測定してみると20mバンドの同調点が見つかりません。ワイヤーをゴムチューブに収めたため、インダクタンスの値が大きく変わってしまったようです。仕方なくキャパシタを変えて40m、30mの2Turn MLAとしました。
もっと高い周波数でも使えるものを目指して、2mのワイヤーを2ターンにしたものを作りました。仮組み立ての状態で12mバンドまで同調点が見つかっていました。組み上げて測定すると12m、15mバンドでは同調点が見つかりませんでした。260pFのポリバリコンを付けて17m、20m、30m、40mの2Turn MLAとしました。インダクタンスが大きくなりすぎてキャパシタで対応できなくなるようです。
2ターンとすることで給電点をキャパシタの近くに置くことができるのですが、エレメント同士が接近してしまう配置では1ターンの時とはことなった様子になりました。多くの方がやられているようにエレメント同士を離して配置することが必要なようです。
2ターンMLA
高い周波数になるほどインダクタンスが大きくなりキャパシタが対応できなくなるようだ。ワイヤーの長さで対応する周波数が決まる。
コンパクトになる分、放射効率が落ちるので、送信は難しくなる。受信には使える。
小さなループアンテナでHFの運用ができると聞き、さっそく試してみました。市販されているものもたくさんあるようですが、構造は意外と簡単そうです。
調べてみると、エレメントになるループ部はバリコンを介して繋がっており、バリコンと対角線になる位置に給電部があるようです。給電にもいろいろな方法があるようですが、一番簡単なコアを抱かせる方法を試みました。
左の写真は庭木につり下げたループアンテナですが、直径約1m、下にバリコンがぶる下がっています。エレメントに使ったのは5D2Vの同軸ケーブル3mで編祖のみを使っています。給電部をプラスチックハンガーにつり下げ、ループの真ん中部分にプラスチックの突っ張り棒を入れています。下側に赤く見えているのがバリコンです。不格好な輪が見えますでしょうか。
同軸ケーブルの編祖を使ってMLAができましたので、これをワイヤーでやったら、どうだろうかと実験してみました。3mのワイヤーを使い、上記の製作と同じトロイドコアで給電しました。
バリコン部分にはQRPでの運用を前提に、手持ちのトリマーを使いました。トリマーは金属板をビスで締め付けることで静電容量を変化させるタイプで、測定してみると50pF~150pFほど変化させることができるものです。
ハンガーに取り付けてMLAとしての特性を調べてみると、7MHzで同調点を見いだすことができました。帯域幅は狭いものの、結構よい値を示しています。
リグに繋いで信号を聞いてみるとEFHWと比較するとSが2~3低いようです。それでも、状況によっては実用になるアンテナだと思います。
エレメントになるループのちょうど真ん中になる位置にこのコアが来るよう固定します。実験途中でしたのでビニルテープで仮固定してあります。
実戦で使えるか、実用性を確認する運用を行いました。
念のため、アンテナアナライザーを持っていきましたが、MLAを設置して測定してみると、予め家で調整してきた状態を再現していました。移動先での調整をせず、2つのバンドで運用することが出来ました。
今回はMTR5Bをリチウム電池2本で駆動しましたので、出力は2W弱でした。それでも18MHzをワッチしているとTK034 SOTA移動局が聞こえました。砥山からの信号です。呼びかけると応答があり交信が成立しました。SOTAの局どんなアンテナを使っているのか気になりました。
その後、10MHzに移り、4エリアと、8エリアの移動局と交信することが出来ました。
コンパクトなアンテナですが、そこそこ使うことが出来そうです。
ワイヤーで輪を作るためには何らかの支持具が必要です。以前には配線カバーを使っていましたが強度に課題がありました。
そこで見つけたのが園芸用のポールです。直径5㎜ほどのプラスティックの棒で、長さは150cmほどあります。もともと曲げて使うことを想定して作られているので、しなやかです。金属ではないのでエレメントへの影響もないと思われます。
ただ、この棒を輪にするには接続部分の工夫をしなくてはなりません。接続部分には結構なテンションがかかるので、その力に耐えられるような工夫が必要です。
思いついたのが、棒を差し込める穴の開いたパイプを利用することです。両側から棒を差し込み、輪を作っていくと棒のしなりでパイプが抜けにくくなります。さらに固定するため、、配線などをまとめる時に使われるスパイラルチューブを被せることにしました。左の写真のようにして、パイプの長さの真ん中あたりに詰め物をして、左右から差し込まれるの棒が均衡するようにしました。
150cmのポールを2本使えば直径1m弱のループができます。また、3本使うと1.4m程度のループになり、3.5MHzバンドのMLAとしても使えそうです。
ハイバンドが開けるようになってきましたので、28MHzや24MHzのワイヤーMLAの実験をしました。
ワイヤーの長さは150cmのものを使いました。キャパシターは最大で56pFになるポリバリコンです。給電部はトロイダルコアを介して4ターンのコイルを使いました。
測定してみると同調点が見つかり、両方のバンドでほぼ1.0のSWRに追い込むことができました。また、21MHzでも測定しましたら多少SWRは高くなりますが同調点が見つかりました。波長に対して小さなループになりますので、効率は期待できませんが運用はできそうです。
このMLAを室内に設置し、使ってみました。ランダム長のワイヤーアンテナと比較すると受信Sは低くなります。しかし、しっかり受信できているので呼びかけをしました。すると、コールバックがあり、8,6,3,1エリアの局と交信することができました。
5D2Vの同軸ケーブル3mをループにして、その結合部にバリコンを入れます。ここは高電圧が掛かるところですので、耐圧の高いバリコンが必要になります。また電撃予防のため、人が触れにくいようケースに入れるなど保護が必要です。
私は手元にあった、昔、真空管送信機で使っていたタイトバリコンで200pFを使いました。穴あき基板をセパレーターとして、同軸線の編祖を固定し、そこにラグ板を取り付けて、ビス留めでバリコンと接続しました。3mのワイヤーで作ったものは7MHzでの同調点しか確認できませんでしたので、2mで実験しました。
給電部はFT37-43のトロイドコアを使い、7回巻きにしてあります。キャパシターは同じトリマーです。ハンガーから外してしまうと、上の写真のようにとてもコンパクトになります。これですと移動運用にも使いやすいと思います。
特性をアナライザーを使って調べました。7MHzは無理でしたが、10MHz、14MHzは同調点が見つかりました。18MHzはどうにか見つかりましたが、トリマーを緩めきった状態でしたので不安定でした。
もう数十年出ていなかった50MHzだが、新スプリアス規制への対応のため、昔のリグを引き出してきました。しかし、このバンドに出ようとしたとき、アンテナがありませんでした。取り合えず電波を出すためにMLAを作ってみました。
120cmのワイヤーを使い35pFのトリマをキャパシタとしました。アナライザで調べると同調が取れることはわかりましたが、キャパシタがとても小さなところで同調していました。もっと小さなキャパシタが必要なのですが手持ちがありません。そこで直列に10pFのコンデンサを付加しました。
調整はクリチカルですが、SWRがほぼ 1 になるところを見出しました。
その後調べてみますと、市販の6mMLAで、キャパシタにφ5cm程の2枚の金属板を向かい合わせて、その間隔を調整することで調整しているものがあるのを見つけました。ごく小容量のキャパシタが必要のようです。
こんな簡単な構造なのですが、測定してみるとしっかり動作していることが分かりました。バリコンの調整はとてもクリチカルです。他の周波数帯も測定したのですが、共振点を見つけることはできませんでした。それらの周波数で使うには、コンデンサの容量やループの大きさを変える必要がありそうです。
この実験中、たまたま聞こえてきた香川県の移動局にお声掛けすると、何回かのコールバックの後取って頂けました。私は3Wの出力でしたが、相手局は599で聞こえていました。効率については改善の余地がありそうですが、どうにか実用になりそうです。
ワイヤーを使ったMLAですが、もっと小さくしたらと言うことで実験をしてみました。1mの配線カバーを1本使って輪を作りました。ワイヤーは2mのものを2回巻きにしてあります。
左の写真で真ん中にあるのがイヤフォーンですのでその大きさがおわかりになると思います。直径30cmほどの輪になります。2回巻きですので給電部とキャパシター部が同じ位置になります。相互に接近することで影響が出るかと心配しましたが大丈夫のようでした。
給電部とキャパシター部です。トロイドコアはFT37-43を使いました。巻き線は6回です。
キャパシターは70pFのトリマーを使いました。この容量では10MHzには少し足りないようです。14MHzと18MHzで使うことにします。
アナライザーで測定すると、SWRはほぼ1に近くなっていました。放射効率についてはこれから使ってみないと分かりませんが、データーから見ると送信も可能のようです。
これまでの実験から、ワイヤーMLAでも使えることがわかりました。また、QRPでの使用ならキャパシターにトリマーを使っても大丈夫でした。
そこで、バンドの切り替えが容易なMLAを実験してみました。MLAは調整がクリチカルですが、一度調整してしまえばワイヤーアンテナのように設置場所によって特性が大きく変わることは少ないようです。コンパクトなアンテナですのでいつも同じような状態で設置できるからだと思います。
キャパシタはバンド毎にトリマーを使うことにし、バンドの切り替えにはショートピンを使うことにしました。ショートピンの位置を変えることで、予め調整したトリマーを接続する仕組みです。
周波数帯は、やっと開けてきたハイバンド帯の21MHz、18MHz、そして14MHz、10MHzとします。
給電部はワイヤーエレメントをFT37-43のトロイドコアの中を通して、トロイドコアに6回のリンク線を巻いています。
エレメントワイヤーは2mのものを使い、配線カバー2本で輪にしています。
キャパシターは、調整した時点の実測で10MHz:88pF、14MHz:46pF、18MHz:27pF、21MHz:20pFでした。10MHzのみトリマーにコンデンサを抱かせています。
今回はトグルスイッチを使い、2バンド仕様としました。これまでの製作と同様、トリマーと固定キャパシタを使い、バンドに合わせて調整しておきます。
リングの形状を同じように出来れば、移動先で調整をしなくてもほぼ所定の性能を再現することが出来ます。
トリマーの調整の仕方で、20mバンドと17mバンドに調整することができました。
調整は大変にクリチカル。帯域幅もとても狭い
10MHz用のキャパシターにはトリマーに40pFを抱かせるため、スライドスイッチで切り替えている。
長さ40cm、8本でもコンパクトになり、携帯しやすくなります。
6mバンドのMLAには、極小容量のキャパシタが必要です。トリマーに直列にコンデンサを接続して対応していましたが、あまり使い勝手がよくありませんでした。
そこで、キャパシタを自作しました。上記の写真のように金属板でプラスティック版を挟み、プラスチックのビスで金属板の間隔を調整する仕組みです。このキャパシタでMLAを構成したところ、SWRが1になることを確認できました。キャパシタの容量は挟むプラスチック板の枚数でも調整できます。何回かの試行錯誤で、折り重ねた4枚のセパレータでこの結果を得ることができました。
旅行用MLA
追 記
給電トロイドの巻き数を15m、17mでは4Tとした方がSWRが改善できます。ショートピンを使って、6Tと4Tを切り替えできるようにしました。
給電部とキャパシタにスイッチによる切り替えを入れ、5バンドで動作するMLAにしました。ワイヤーは2.5m長です。写真のようにワイヤーをしっかり丸く伸展していなくてもそこそこのデータになっています。
給電部のトロイドコアに37#43を使い、4TとすることでSWRを1に近づけることができました。
給電のための小ループもスパイラルチューブでワイヤーとまとめてしまいます。また、キャパシター部もワイヤーをスパイラルチューブに収めておきます。このスパイラルチューブの中にポールを通してから、園芸ポール同士を上のジョイントパイプで繋ぐことで容易にループを作ることができます。
放射効率から言えば、エレメントが太い方がよいようですが、このようなワイヤーでも電波を発信することはできます。手軽な実験として楽しめると思います。