「ホッタラケの島」の舞台を歩く
出雲祝神社 
 アニメ映画「ホッタラケの島」の舞台になっている入間市の出雲祝神社を訪ねました。
 宮寺小学校の前を曲がり、さらに右折した先のこんもりした林の中にありました。平安時代からの古い歴史のある神社だそうです。入り口には「茶場」という石碑もあり、狭山茶との関わりもありそうです。
 参道を進むと、映画の中に出てきた風景がそのままに見えてきます。
 拝殿への石段を登ると右手には神楽殿があります。改修の記念碑などもたくさんありました。厳かな雰囲気の中に、人々の息づかいが感じられ、この地域の人々の信仰を集めていることが窺われます。
 本殿の左右には別社が置かれています。中央の拝殿の奥にある本殿の様子は窺い知ることができませんが、聖域にいるという雰囲気を感じます。
 拝殿への石段を登り切ったところでは、左右に愛嬌のある狛犬が迎えてくれます。威嚇すると言うよりも、つい頭をなでてしまいそうな可愛さの狛犬です。
 境内にある寄進者の木札に、興味をそそられました。よく見かけるのは金額と寄進者の名前が書かれたものなのですが、ここの札には、「扇風機二台」「蛍光灯二基、含工事」「火撹き棒一本」「敷き砂二台」「提灯一張り」「竹箒十五本」などいろいろな品物が書かれていて、地域との結びつきを感じさせられます。
 裏参道は「ハタヤの稲荷」に近いところにあります。
 この神社は「寄木の森」とも呼ばれているそうで、寄木様と地域の人々に親しまれてきたとのことです。
 「重闢茶場碑(かさねてひらくちゃじょうのひ)」が境内にあることを示す石柱が鳥居の脇に立っています。
西久保観世音
 出雲祝神社の裏手から続く道を進むと、こちらのお堂に出られます。
 ここの「鉦はりの行事」は入間市の無形文化財に指定されています。
 境内は子どもたちのやお年寄りの憩いの場になっているようです。
市指定文化財(天然記念物)
 西久保観世音(にしくぼかんぜおん)の境内にあるカヤの木。
 根回り4.3メートル、高さ23メートルという巨木です。樹齢約800年で市内第一の古木だそうですが、元気いっぱいの葉を茂らせています。
ちょうど実が熟すころでした。枝先には2cmほどの緑色をした実がたくさん付いていました。
 樹の根本にはカヤの実が落ちていましたので、いくつか拾わせてもらいました。
 独特の芳香があり、果実は柔らかく簡単に指で剥くことができます。木の実は乾燥させて煎ると食べることができるそうです。どんな味がするのでしょうか。
ハタヤ稲荷
 映画で有名になったせいか、周りの木々が整理され、案内板まで立てられていました。写真に見えるのは鞘堂で中に小さな祠があります。
 失ったものが見つかったら、お礼に生卵をお供えすると言う風習があるそうで、この日もいくつかの卵が供えられていました。
 ただ整備されすぎて、むら里の社の雰囲気がなくなってしまい残念です。
さいたま緑の森博物館 
 神社から歩いてすぐのところに「さいたま緑の森博物館」があります。
 狭山湖周回道路からこの表示板で入ると駐車場があるのですが、「この先、車の通行はできません」という看板があり、迷ってしまいました。
 狭山丘陵とその周りの自然を見ることのできる博物館で大変広い地域です。
 一つの建物に展示物があるのではなく、自然公園のなかで植生や動物たちの様子を見ることができるよう整備されています。
 入ってすぐのところには、田んぼのゾーンがありました。いろいろな稲が植えられています。これは黒米でしょうか。
 普段食べている米とは違った、さまざまな穀類が見られて楽しい田んぼです。シオカラなどのトンボたちがたくさん飛び回っていました。
 西久保湿地から大谷戸湿地へ向かう林の中で見つけました。木の実なのですが、あまりの色鮮やかさに見とれてしまいました。

 博物館のサイトで調べたところ、「クサギの実」であることがわかりました。
狭山は茶どころ。
 周りにはたくさんの茶畑も見られました。花はすでに盛りを過ぎているのでしょう、あまり見られませんでしたが、根元にはたくさんの茶の実が落ちていました。
 この博物館はお弁当を持ってゆっくり歩くのがよさそうです。今回はほんの一部だけの散策になりました。

平成21年9月中旬