Whip PscudoDipole Ant

 人間、どんどん横着になるようで、移動運用でワイヤーアンテナを張ることさえ面倒なことがあります。すぐにアンテナを伸ばし、すぐに撤収できる気軽なアンテナを作ってみました。
 伸縮自在なホイップアンテナを2本広げてダイポールもどきとしたいと思います。そこで問題になるのがどのようにホイップアンテナを支えるかということです。
 多少悪影響が出そうですが、ケースの中に2本のホイップアンテナを入れて固定するようにしました。根元とケースから出るところの2カ所でおさえることができますので、しっかりと固定できました。

10MHz

7MHz

 2本のホイップアンテナの根元で給電するので、ダイポールのような形をしていますが、同調が取れる長さになっていません。したがって、ダイポールアンテナとは言えません。しいて言えば、ロングワイヤーの仲間でしょうか。
 そのため、このまま同軸ケーブルにつないだのでは、マッチングできません。マッチングをとるためにBLTの回路を使わせてもらいました。T68-6のトロイダルコアにコイルを巻き、2つのポリバリコンで調整をする回路です。
 実際の使用では、このアンテナから同軸ケーブルを伸ばし、トランシーバーにつなぐところでTennaDipperを使うことにします。TRCVから強い電波を出す前に微弱電波での調整ができ、他局の迷惑になることが避けられます。

前回は水平に伸展して測定しましたが、1.5mという地上高は低すぎるように思いました。そこで、水平ではなく垂直にして使えないか試してみました。一方をカウンターポイズのように地面に這わせる形です。
測定すると10MHzから28MHzまで整合点が見つかりました。垂直でも使えそうです。
7MHzで整合しないのですが、調べてみると7.8MHz位のところに整合するところがありました。これを下げようとしてもキャパシターでは対応できません。エレメントの長さを足せば下げることができないかと試しましたが、ダメでした。このチューナーではLC回路で同調させ、それをエレメントへ伝えているのでエレメントの長さはあまり関係ないのかもしれません。

このアンテナを何と呼んだらよいのか考えたのですが、1本のワイヤーの真ん中でBLT(Balanced Line Tuner)で給電しているので、形の上ではT型のワイヤーアンテナになると思います。
利便性から、上掲のように伸縮ホイップにで作りましたが、これをワイヤーにしても使えるのではないかと実験してみました。

ワイヤーは3mを2本使いました。BLTを調整する必要があるので、あまり高く上げることは現実的ではありません。 
BLTはNorCalQRPKitsで使われているBLTの回路と同じにしました。ただしトロイダルコアはT80 #2を使いました。L1は16Tでセンタータップを設けました。2次側はHiが12T、Loが6Tです。

1m50cmの高さに設置して測定したところ、7MHzでは整合点が見つからず、10MHz、14MHz、18MHz ,,21MHz、24MHz、28MHzでSWRがほぼ 1 になるところが見つかりました。

木の枝から枝に張り渡す形状で設置すれば手軽に使えそうです。

BLT 給電 T型アンテナ

24MHz

21MHz

18MHz

14MHz

ホイップの部分は大変短いので、放射効率はあまり望めません。実際受信してみても、EFHWと比べてSが2〜3低いようです。とりあえず電波が出せるというアンテナだと思います。
調整してみると、40,30,20,17,15,12mバンドで整合を取ることができました。リグ側から見た整合であり、放射効率とは別と考えたほうが良いと思います。さすがに7MHz帯では整合の取れる幅が狭く、周波数が上がるにつれて整合の取れる幅が広くなっていました。(自作のアナライザーで測定しました。写真を撮るとき周りの光が映り込んでしまい見苦しいのはご容赦ください)

部屋の天井から吊るした状態でしたが、実際に電波を出してみました。MLAと同じような飛び具合のようで、21MHzで北海道と九州の局を呼びかけ、返答をいただきました。高い周波数の方が飛びはよいようです。
手軽に設置し、撤収もすぐできることがメリットです。腰を落ち着けた運用には向きませんが、ロケーションに良いところで短時間に運用するには便利かと思います。


立木の枝にぶる下げたりして手軽な運用に役立ちそうです。