早速、はんだ付けを行いました。マニュアルに従い背の低いものから取り付けました。抵抗が1本足りなかったのと、コンデンサが1個余りましたが、順調に作業は進みました。3時間ほどで組みあがりました。今回は、すべての部品を基板上に取り付けましたが、ケースに入れる際、この大きさのケースを用意しなければならないなど、課題が多くありそうです。

 組み立てをしていて気づいたのですが、このPara80setが開発途中で公表されていたマニュアルと、キットとして頒布された際のマニュアルではいくつかの変更がなされていました。特にボリュームは当初、小型のものを使う予定だったのが普通の16mmφのものになり、VR-VC-VRの間隔が狭くなってしまいました。また、それに伴って、基板上の配置も変更になっています。さらに部品の定数もいくつか変更になっていました。

The Para80set

 KD1JV Steve Weberさんがデザインし、QRPGuysからキットとして販売されているもの。
 このPara80setという名前は、第二次世界大戦の時、北欧で敵の背後にいる抵抗勢力に、連絡手段としてパラシュートにつけて投下された無線機に因んでつけられたという。もちろん、当時のことですから真空管を使った再生受信機で、水晶発信による送信機だった。
 それを元にして、SteveさんがMASデザインコンテスト(Minimum Art Session)にMAS80として、最小の部品で構成したリグとして応募した。そして、さらに現在の部品を使って再構成したのが、このPara80setなのだ。
 したがって、受信機と送信機の組み合わせであり、トランシーブ操作はできない。送信波も水晶発振子に依るもので、固定周波数と言える。交信を楽しむと言うよりも、操作を楽しむというリグだ。不便さの中に無線通信の原点を感じられるものだと思う。


 このキットは大変安価で構成もシンプル、作りやすいキットだが、アマチュア無線での実用というにはほど遠いものだと思う。初心者向けではなく、ベテランハムのノスタルジックな楽しみのものといえるだろう。

 裸のままでは使いにくいのでケースを考えました。操作するパーツがすべて基板に乗っていますので、この基板がそのまま収まるケースは自作するしかありません。そこで、簡単にできるサンドイッチ方式にしました。基板をアクリルの板で挟み込む方式です。これですと側面は被うことができませんが、通常の動作には使える状態になります。

 組み上げて動作させてみました。受信音は懐かしい再生受信機の音です。周波数の微調整用のボリュームがありますが、細かな調整は難しいようです。アンテナを繋ぐと交信が聞こえてきました。QRPGuysのデジタル周波数計を付加しましたので広い範囲を聞くことができます。SPOTボタンを押すことで、送信周波数と受信周波数を合わせることができます。送信は12Vで1Wほどになりました。電圧によってもう少し大きくなるようです。

 このキットが往時のPARAsetと大きく違うのが送受信の切り替えです。スイッチによって送受信を切り替えていたものが、このキットではフルブレークインになっています。キーを押せば即、送信になるので送受の切り替え操作はありません。しばらくは受信で楽しんでみたいと思います。

QRPGuysの了承を得て、マニュアルを翻訳しました。(pdf)

 部品を種類ごとに分けてみました。最小の部品とは言っても結構な数になります。すべてを基板上に配置する構成になっていますが、ケースに入れる場合は工夫が必要なようです。

 キットに付属している水晶発振子3.579MHz、3.560MHzでは国内での運用は難しいので、ソケットを取り付けました。サトー電気から3.505MHzの水晶を入手しましたので、当面はこれを使い、使えそうな水晶を探していきたいと思います。

 QRPGuysに申し込むと、すぐ発送してくれました。約1週間でこの写真のような封筒が届きました。値段は$35、送料$5でした。
シルクスクリーン印刷の部品配置が記された基板と一袋の部品セットです。、

 マニュアルなどは入っていません。Webサイトからダウンロードします。