このリグは外部から周波数を変えることはできません。ケースから基板を抜き出して水晶発振子を差し替え、バンドを変えるためにショートピンの抜き差しが必要です。
そのためケースを開ける頻度が高いので、ドライバーを使わずに手で作業できるよう、つまみ付きのビスに交換しました。元のビスは2.6mmφのものです。この太さのローレットビスを探したのですが見つかりませんでした。ローレットビスは3mmφからのようです。
そこで、ケースに3mmのタップを切り、写真のようにつまみ付きのビスを取り付けました。蓋を固定するためには4本でなくても大丈夫でしょう。私は通常2本で固定しています。
CRKitsから出されている単一周波数のトランシーバーCRK-10の後継機種がCRK-10Aです。最初のキットはキットとは言ってもSMD部品はすでに取り付け済みで、ほんのわずかのスルーホール部品を取り付けるだけでできてしまうものでした。
後継機種は回路は同じなのですがすべての部品をスルーホール部品に代え、すべてを自分で組み上げるキットになっています。十分なスペースを取っているので工作自体はやりやすく、ケースも付属しているのですが、基板からケーブルを引き出すような必要もなく、とても考えられたキットになっています。
本来は単一周波数で作るようになっているのですが、水晶発振子を交換することで異なる周波数での運用も可能です。また、この機種は7MHzだけでなく10MHzの機種も出ています。2つの回路を検討してみると差異はごく僅かで、工夫すれば2Band化も可能であると思いました。
こんな小さなルーターですが、威力は絶大です。100均のダイソで840円で入手しました。0.8mmのドリル刃は105円でした。
LPFの定数を変える方法としてLはそのまま使うこととし、Cを付加することとしました。
リレーを組み込めれば操作が容易なのですが、このシンプルなリグには不釣り合いです。
ジャンパーピンを活用することにしました。7MHzで運用するときにはピンを短絡し、Cを付加します。10MHzでの運用のときにはジャンパーを外して運用します。
左の写真のように、PCBのパターンにスペースがあるところに3つのピンを立てました。
回路的にはこれらのピンはGNDから浮いていますので、PCBにピンを立てるとき、PCBに穴を開け、その周りのランドを削っておきます。ピンの固定は接着剤で行いました。
この工作にはミニルーターがあると便利です。ユニバーサル基板をスケール代わりに使って2つの穴を開け、その穴の周りをルーターのヤスリで銅箔を取り去ります。
取り付けたジャンパーピンと、裏面の配線の様子です。Cを4個追加しています。
10MHzの運用のときには1本だけに被せるように取り付けておけば、紛失を防げます。
同様な方法で出力調整用のC25も脱着できるようにしました。7MHz運用ではC25を取り付けると出力が出過ぎるようです。
上記の56pに計算で求めた47pをパラで入れたときの状況です。このCはバイパスになってしまうのではないかと思ったのですが、どうやら共振回路として働き、スプリアスの低減をしているようです。このCを入れないときと比べて2ndのスプリアスがさらに低減していることがわかります。もう少し低減したいところですが、実用上は問題なく使えそうです。
10MHz帯で運用するときと、7MHz帯で運用するときに、4カ所のジャンパーピンを差し替えることでスプリアスについて対応することができるようになりました。CRK10Aの2Band化ができました。
JARLの測定サービス 今回の製作にあたって、スプリアスの状況をどうしても知る必要がありました。しかし、高価なスペアナはありません。 そのため、JARLの測定サービスを利用させていただきました。事前に連絡をして時間調整をし、持ち込むことでその場で測定結果が出ます。遠方の場合には対象物を送っても測定してくれるそうです。自作好きには頼りになるサービスです。 |
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L3にパラに入っている56pのままで測定したスプリアスの状況です。Cを追加することでだいぶ改善されています。3rdのスプリアスはほとんど見られなくなりました。