入川渓谷、石で遊ぶ
平成28年8月下旬
埼玉県奥秩父、甲武信岳を水源とする荒川源流にある入川渓谷を訪ねました。往路は関越高速、花園を降り、一般道をひたすら雁坂峠をめざして走ります。
道路脇の小さな標識をめあてに、やっと車が通れる細い道を、対向車が来ないことをひたすら願いながら1km程進むと「夕暮れキャンプ場」に到着。車を置かせてもらい歩き始めます。
ここは東京大学の演習林になっており、いくつものゲートが設けられて自然が守られています。
山からはいくつのも小さな流れがあり、荒川の源流域であることがわかります。冷たくきれいな水に触れると気持ちが清々しくなります。
谷筋には水が集まり滝を作っています。このような小さな流れがいくつも集まりながら荒川の大きな流れになっていくのです。
途中にトロッコの線路が埋もれたところがありました。昭和40年代まで木材を搬出するために敷設されていたトロッコだそうです。
山の様子を見ると、渓谷沿いの道のある斜面は植林された木々が整然としていますが、渓谷側の斜面は自然そのままで、人々の営みと道との関わりがよくわかるところです。
道ばたには小さな栗が落ちていました。季節はもう秋に切り替わっているようです。栃の実もたくさん落ちていました。動物たちの大切な食べ物なのでしょう。
林道分岐の少し先に、川に降りられる道が造られていました。
階段を下りていくと大きな石がごろごろとした川縁に出られます。
汗をかきながら散策してきたのですが、川の流れに近づくと、上着がほしいほどにひんやりとしています。

帰りにこの階段を上がったとき、途中から気温が変わっていることがはっきりと感じられました。川の流れによって気温と湿度が大きく違っているようです。
河原ではさまざまな石を見ることができます。
大小さまざまですが、どれも上流から運ばれてきたものなのでしょう。
石の模様に特徴があります。さまざまな色をしているのですが、白い筋の貫入が見られます。地殻のできてきた歴史を物語っているようです。
石の表情のおもしろさに、時を忘れて眺めて歩きました。ルーペや岩石図鑑があればもっと楽しめたと思います。
色が異なっていますので、形成された場所が異なるのでしょうが、どれにも白い筋が入っています。堆積した場所が異なっても、変成していく過程が同じであったのでしょう。
小さな杉のような植物が目に付きました。コケ類なのかも知れません。
赤沢までは行けませんでしたが、自然をたっぷりと浴びることができました。
復路は雁坂トンネルを通り、塩山から中央高速道でした。