浮野の里
加須・浮野の里 平成27年5月初旬
それは、NHKの朝の番組でした。ノウルシが満開になったという紹介です。浮野の里(うきやのさと)と紹介されていましたが、おもしろい地名だなと気になっていました。
調べてみると、東北道加須インターの近くにある、武蔵の国の田園風景を残しているところだとわかりました。
「緑のトラスト保全第10号地」として埼玉県によって指定されている県指定の天然記念物でした。
テレビで紹介されたときには一面を黄色く染めていたノウルシはもう盛りを過ぎていました。
江戸時代の新田開発の様子をとどめる田堀などが残され、散策を楽しみました。
アヤメが咲き始めていました。ここには6月になると芽吹いてくるトキソウの群生もあるそうです。
「浮野」という地名は氷河期の谷に形成された泥炭の土地が湿原となっていて浮かんでいる状態だということから来ているそうです。
昭和22年の洪水時にはこの部分だけ浮上したことが確認されたと言われているそうです。現状からは想像もできない自然の様子です。
ここにはトイレと駐車場しかありません。トイレの入り口に案内のパンフレットが置かれていました。
でも、ゆったりと昔の田園の様子を思いながら自然とふれあうのにはとてもよいところです。
パンフレットに従って歩いてみましたが、結構広い範囲が保全されているようです。
季節毎にイベントも行われているようで、その時期にはたくさんの人で賑わうのでしょう。
   クヌギの並木になった土塁の上を歩くことができます。その昔は洪水などで田の境目がわからなくならないよう、このようなしっかりした土塁を築き、クヌギを植えたのでしょう。
木陰の下を歩くと不思議と心がゆったりとしてきます。そして時間を飛び越えて、その昔に戻ってしまったような錯覚に陥りました。
保全地区の周りは地域の人々の田が広がっていました。この時期は田起こしが行われ、田に水が入れられているところでした。家々の庭先では苗床が作られ青々とした稲苗が育っていました。
耕された田の隅にレンゲが残っていました。ほとんどのレンゲは鍬込まれてしまったようですが、一株残ったこのレンゲには種ができていました。ちょうどエンドウ豆のような鞘になっています。