里山散策

平成26年11月中旬   埼玉県小川町

よく、小川町の農産物販売所を利用させてもらっています。ここの駐車場の脇には養魚池があり、周りは里山に囲まれています。池を眺めていると2羽のカワセミが飛んできて戯れています。時々池の中にとびこみ餌をとっているようです。小鳥たちの鳴き声も心地よく、農協婦人部特製の「母ちゃんまんじゅう」をほおばりながら、ゆったりしたひとときが楽しめます。
販売所の前の道路には陸橋が造られています。ほとんどヒトの通ることのない陸橋です。道の向こう側にはお寺があり、こちら側の山と一体化したものがあるようです。
南斜面の日だまりはとても暖かでスミレやホトケノザが花を咲かせていました。
駐車場脇の坂を登り、陸橋を渡って行くと、墓地が広がっていました。立派な新しい感じの墓が多いのですが、石の板に戒名が書かれた墓もあります。
その中に、墓石ではなく仏様の名前が書かれているものがありました。
よくお地蔵様などの石像が村の辻などに置かれていることが多いのですが、ここでは像ではなく文字が刻まれています。
その文字を詳しく見ようと近づいたとき、足下にきれいな青い粒を見つけました。ラピスラズリのように輝いています。ジャノヒゲの実のようです。
大きさは50cmほどの板碑です。左側のものには妙見大菩薩と刻まれています。右側には不動明王と刻まれています。年代も刻まれていますが結構古いもののようです。村人の信仰を集めていたのでしょう。
いくつもの石碑が一列に並んでいました。左側の写真は文殊菩薩、右側のものは薬師如来と刻まれていました。
ここで使われている石は近くの大字下里地内から産出する緑泥石片岩だそうで、そのむかし、像を彫ることはできないけれど、その代わりとして信仰の対象として作られたものなのでしょう。
横田山養昌寺
墓地を奥に進んだところにお寺がありました。
このお寺は俳句とゆかりがあるようで、いくつもの句碑を見ることができました。このあたりは地名が大字下横田ということで山号が付けられているのでしょう。
よく手入れをされている境内には墓参に来られた方の姿も見かけられました。
杉の木の根本に植えられた常緑樹の中に菊が咲いていました。丸く刈り込まれた緑の中に、柔らかな花の色が映えています。俳句や茶花に通じる美意識を感じました。
道路をまたぐ陸橋を戻り、山道を進むと以前にも訪ねたことのある「下横田の百庚申」があります。小川町指定史跡になっていて、里山の一角が伐採されて庚申塔がずらりと並んでいます。
冬桜が咲いていました。春のサクラのような華やかさはありませんが青空をバックにするとすがすがしい美しさです。
ドングリや山ぐりを拾ったり、色づく木々のグラデーションを見たり里山歩きを楽しみました。