秩父 七草寺巡り

平成24年10月初旬

もう七草を楽しむのには季節が過ぎてしまっていることを承知で長瀞を訪ねた。
遍照寺の葛、洞昌院の萩、真性寺の女郎花、不動寺の撫子、法善寺の藤袴、多宝寺の桔梗、道光寺の尾花を称して七草寺というのだそうだ。
ハイキングで一回りすると13〜15km約4時間かかるという。
遍照寺
花園から長瀞への国道140号から離れ、間瀬峠向かう道の途中にある一姓一寺の寺。開基国政系の林姓以外は檀家になることはできないとのこと。
山の中になる静かな寺である。
遍照寺は葛の寺と言われ、寺の前には葛がたくさん植えられており、トンネルを作っている。この時期には大きな葉だけで、花は見ることはできない。
キバナコスモスやパンパースが咲き、秋の風情満点である。
遍照寺は歴史を感じさせる板状の自然石に一人一人の戒名を刻んだ墓石がたくさんある。
現代的な区画割りされた墓地もあるのだが、ほとんど文字も読めなくなったような石碑が一緒に佇んでいる姿に時の流れが感じられる。
ちょうど季節なのだろう、秀明菊が満開で自然石の墓を飾っていた。
遍照寺を囲む山の中を歩いていると、雨上がりと言うこともあったためかたくさんのキノコが顔をのぞかせていた。
洞昌院
国号140号から少し入ったところにあるこの寺は、山の斜面にある。参道の両脇に畑のように萩は植えられており、その先の階段を上ったところが寺である。花の咲く時期ならさぞ壮観であろうと想像される。
寺の裏側の斜面が墓地になっていて、そこにもたくさんの萩が植えられている。
季節はずれなのだが、数輪の萩の花が残っていた。いろいろな種類の萩があるとのことで、約一万株あるそうである。
ミズヒキと萩の競演。華やかさはないが自然の中にそっと咲く可憐さはすてきである。
法善寺
国道140号とは荒川を挟んで反対側の整備された道路沿いにある。
藤袴の寺とされているが、さまざまな草花、桜などが整備されているのでどの季節に訪ねても目を楽しませてくれる。
藤袴にもいろいろな種類があるとのことで、境内には名前を付けた花壇が整備されている。
秋の草花の中をのんびりと散策させてもらった。
法善寺
この寺でも秀明菊が満開であった。朝の雨がすっかり上がって陽に照らされた白がまぶしいくらいである。
法善寺は庭の花だけでなく本堂の欄間も見所なのだという。残念ながらこの日は見ることができなかった。
法善寺から道光寺へ向かう途中に体験ができるガラス工房ができていた。グラスや一輪挿しを作ることができるようだが、そこの駐車場の脇にあったヤマボウシの実が鈴なりであった。ガラス作品もきれいだったが、これほど見事なヤマボウシを見るのも初めてである。
道光寺
整備され走りやすくなった140号対岸の道に面している。道を挟んで反対側に広い駐車場が設けられ、寺にも垣根がないようなおおらかな雰囲気である。
ススキだけでなく西洋ススキといわれるパンパースも植えられており、ちょうど今の時期が見頃である。
尾花を背にした六地蔵がよい雰囲気を出している。これだけの尾花に囲まれると寂しさは感じない。たくましい自然の中に共存してきた人間の営みにエールを送りたい気分である。

ゆっくり巡っていたので4つの寺を回ってタイムアップである。また季節を変えて来てみたいところである。