香りに包まれて

平成23年1月初旬 保田、江月水仙ロード

初春の一日、房総の花を見に行こうと家を出ました。館山道から千倉を目指していたのですが、保田の辺りを走っていると、山の中に水仙の姿が見えてきました。
急遽予定を変更、鋸南保田で高速道を降りました。街の中の古い学校のあとと思われるところが無料駐車場になっていました。そこから保田川沿いを歩き、水仙ロードに入ります。
途中で見つけたムクドリです。木の実を盛んについばんでいました。
この地区は江戸時代から水仙を栽培し、江戸市中に送っていたところだそうです。日本水仙で西洋水仙のような華やかさはありませんが清楚な美しさです。
そして何よりもその数の多いこと。辺り一面、水仙の香りで満たされています。
やっと車がすれ違えるくらいの細い道が集落の中を通っています。峠に向かっているようでずっと登り道ですが、その周り一面に水仙が栽培されています。畑と言うよりも木々の間など傾斜地も含めいたるところに水仙が植えられているという様子です。
日本水仙の美しさは山の中の自然と一体になったところにあるように思いました。木々に囲まれた中に群れている水仙がきれいです。
今年は水仙の開花が早いようで、水仙祭は次の週からとのことですが、もう満開と言ってもいいようにたくさんの花を咲かせています。ただ南斜面と北側の斜面では咲き方が違うようです。
この地区はサクラの里としても売り出しているようです。サクラの木がたくさんありましたが、葉を落とした木の根元の水仙の群落がいい雰囲気を出しています。
峠に近いところはたくさんの家が集落にまとまっていて、「富士見」という地名があるように東京湾を越えて富士山が山の間から眺められました。
暖かいからなのでしょうか、サクラが数輪花を開いていました。
集落の中で見つけたおもしろい垣根です。竹箒がそのまま並べられ垣根になっています。
何かの事情があってこのような意匠をしつらえているのでしょうが、こんな発見も散策の楽しみです。
花を楽しむ菜花と、食べるための菜花が栽培されていました。色鮮やかな黄色が青い空によく映えています。たくさんの水仙の中に黄色い畑があるのもいいアクセントになっています。
野仏も水仙に囲まれていました。日本水仙のあまり自己主張をしない奥ゆかしさが路傍の石仏と一体になっているように思いました。
ただ石仏の周りの土は硬いようで球根が見えています。それがかえって野生のたくましさを示しているようです。