初秋の高原

平成22年9月中旬  諏訪〜霧ヶ峰

行き先を定めずに出発する、くるま旅です。
連休でどの高速道路も混んでいるようです。とりあえず渋滞の少なそうな方面に向かいます。
中央道を進み、眠くなったので八ヶ岳PAで寝てしまいました。

朝目を覚ますと周りはびっしりの車に囲まれています。
朝靄の中に八ヶ岳の姿が見えていました。
諏訪で高速道を降り、高原方向を目指します。
まだ朝早いのですが、交通規制の係員が目立ちます。しばらく進むとたくさんの人でにぎやかになってきました。
御柱際でした。諏訪大社の御柱祭は勇壮な木落としで有名です。今年もけがをされた人が出たと報道されていましたが、この地方ではそれぞれの神社が同様な御柱祭をしているようです。

全くの偶然でしたが、祭りの中を通らせてもらうことになりました。
柱に結びつけられた太い縄に、一人一人が細い縄を結びつけて引いていきます。腰にラッパを下げた人や全体の音頭をとる人など役割が分担されているのでしょう。たくさんの人が御柱を囲んでいます。かけ声を掛けながら直径50cmほどで長さが15mほどの柱が何本も引かれています。
やっと柱の先頭が来ました。柱の上には何人もの人が乗り、大きなかけ声と手振りで調子を合わせています。
柱にはコロや車輪は付けられていませんから、道路を引きずって運ばれます。御柱の通ったあとには木のくずでしっかりとした跡が残されています。
あれだけの大きな柱を人力だけで神社に運び込むのですから、地域の人々総出でなければできないことです。地域のまとまりを感じるお祭りです。
高原は、気温も20度を下回っており、爽やかな空気です。
ススキも穂を広げており、空の色も秋の色になっていました。
八島湿原を散策することにします。
まだ紅葉には早く、夏の花は終わってしまった頃ですので、少し寂しい景色ですが、この季節ならではの風景を探そうと思います。
たくさんのトンボが空を飛び交っています。
ススキの穂に止まった姿を撮りました。
2組の羽がそれぞれ別の方向に向きを変えています。
風があるのでススキも動いているのですが、その動きに合わせて羽の角度を調整しているのでしょうか。
花火のようなヤマラッキョウの花です。
鮮やかな紫ですので、とても目立ちます。
アザミの花はもう終わってしまったようですが、まだら模様のチョウがたくさん群がっています。
クルマソウ
これも盛りは過ぎてしまったようですが、しっかりと種を蓄えているようです。
マユミの実が大きくなっていました。まだ色は出ていませんがこんなにたくさんの実がなっています。実がはじけて中の赤い色が出てくる頃にはさぞきれいだろうと思います。
旧御射山遺跡
三方を丘陵に囲まれたこの地は、鎌倉時代にはその斜面に桟敷が作られ、様々な競技が行われたそうです。
現在も諏訪大社の下社が置かれています。諏訪大明神は軍神で全国各地からもののふが集まったのでしょう。
その一角に、こんな石碑が建てられていました。「競技場跡」という文字が読めました。
いまでこそすぐ近くをビーナスラインが走っていますが、その昔は奥深い山の中で神に奉納するために腕自慢が技を競ったのでしょうか。
この地にふさわしくないものを見つけてしまいました。
ヒメジョオンです。
明治時代に、「柳葉姫菊(やなぎばひめぎく)」として日本に入ってきた帰化植物で鉄道線路に沿って広がっていったので「鉄道草」とも呼ばれたとのことです。
パークレンジャーの話によると「気づいたら抜くようにしているのだが・・」とのことですが、こんなところにまで進入していました。
同じような花を咲かせる「タムラソウ」を探しましたが、これはアザミのようです。「とげがないのがタムラソウ」と教えてもらいましたが、これは葉が堅くとげがありました。
白いブラシのような花が咲いていました。
ネーチャーセンターで尋ねると「サラシナショウマ」でしょうとのことでした。図鑑で見るとトラノオのように先が細くなっているのですが、これは試験管洗いのブラシのようです。
ミズナラに寄生しているヤドリギを見つけました。
ちょうど酒屋さんが新酒ができたことを知らせるために軒先につるす杉玉のようです。まん丸で直径50cmほどもありました。
ハンゴンソウやススキ、アキノキリンソウの咲き終わったあとなど彩りは控えめですが、にぎやかな草原です。
白い雲の流れる青空をバックにすると秋の気配が漂います。
紅葉にはまだ早いのですが、ほんのりと色づいている木もあります。少しずつ季節が移り変わっていく様子を景色の中に探すのも楽しいものです。
帰路、望月宿に立ち寄りました。中山道69次の25番目の宿で道の両側に家々が建ち、本陣の跡が佐久市立歴史民俗資料館になっています。
この地での人々の暮らしについて学ぶことができました。