おひな様を訪ねてA  真壁のひな祭り

平成22年2月上旬

筑波山の麓、桜川市真壁の街にはたくさんのひな人形が飾られています。それぞれの商店や民家が趣向を凝らして、ひな飾りを見せてくれます。
この街は戦災を免れたようで登録文化財に指定された建物などがたくさんあります。それらが日常の生活に使われ、古い建物と華やかなひな人形がすてきなハーモニーを醸し出しています。
石屋さんの店先に飾られていたウサギのひな人形。
わら葺き屋根の小屋を設え、生花と人形がきれいにディスプレーされています。これは見せるためのひな人形のようです。
見世蔵という作りの商店には小さな庭のような配置で人形が飾られていました。どのお店も、一声掛ければ中のおひな様を見せていただけます。
あまり広くない道の両側に、さまざまな展示があるので、街中にたくさんの見物客が溢れていました。
この地域は石の産地でもあるようです。街の中だけでなく周辺の街道沿いにもたくさんの石屋さんがありました。
これは石の衝立に彫り込んだひな人形で、きれいに彩色が施されています。左右には窪みが付けられ、その中に明かりとひな人形が飾られています。家庭では考えつかないようなひな飾りです。
古い時代のひな人形も飾られています。入り口のすぐ脇にある飾り棚にひっそりと置かれていました。現代のひな人形のような華やかさはありませんが、しっかりとした存在感があります。
これは明治時代の内裏様だそうです。時代ごとに異なる人形の顔や、衣装を見比べるのもおもしろいものです。
登録文化財は指定文化財と異なり、緩やかな規制の下で保存が.図られているのだそうです。碍子を使った電気配線がそのまま軒下に走っています。昭和30年頃、精肉店に転業した建物とのことで、軒の柱には「おいしく召し上がれ」と木口に一文字ずつ描かれています。家の中では古い配電盤などを見ることができました。
土壁が崩れて中の様子を見ることができました。竹とわら縄で編んだ格子に土が塗り込んであります。その上に漆喰が塗られていたようです。すべてが天然素材で作られていた構造が一目でわかります。
普通の民家の玄関先の飾りです。繭玉のように木の枝に小さな飾りが付けられています。つるし雛とは少し趣を異にしたかわいらしさがあります。
段飾りが多い中で、このようなディスプレーはとても新鮮に感じます。
なまこ壁の蔵が街の中に残っています。日常の生活にも使われているようで、この日も窓が開けられ、風を通していました。
江戸末期の土蔵で、「お助け蔵」としての役割があったようです。